FC2ブログ
--
----
--
tb* -
com*-

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
2012
0101
Sun
tb* -
com*0

【 A Happy New Year ! 】


元日に予約投稿しました(´∇`*)


お正月記念のお話です。

短いSS的なお話ですが、2012年最初の更新になります。

風爽で結婚2年目くらいの頃のお話かな?
爽子さんのお腹には赤ちゃんが居たりします(´`*)

タイトルは、坂/本真/綾さんの曲から。
なんとあのユーミン先生が作曲を担当している、とても素敵な曲です。


ではでは、本編は追記からどうぞ~。












待っていて、すぐに会いにいくから。


今年最後に見るものが、君とあの子の可愛らしい笑顔でありますように。




どうかどうか、俺たちの大切なあの子が、

元気な姿で、無事に産まれてきてくれますように……。





* * * * *





『――もしもし、翔太くん?…あのね、なんだか急にお腹が痛くなってきて…。なんとなく…今晩には産まれてくるような予感がするの。今から病院に連れていってくれたら助かるのだけど…もうお仕事は終わったかな…?』


こんな大変な時にも、相変わらず申し訳なさそうに頼みごとをする爽子に半ば呆れてしまいながらも、慌てて道行くタクシーを止めて急いで車に乗り込む。



「……すいません!たった今、妻から電話があって!赤ちゃんが産まれそうなんです!自宅に妻を迎えに行って、そのまま病院に行きたいんで、出来るだけ飛ばしてもらえますか…!」








爽子の出産予定日は、奇しくも『12月31日』だった。

そして、今日は待ちに待った今年最後の日。

爽子の、出産予定日。


なのに俺としたことが、昨晩のうちに上司から連絡が入り、急な会議が入ってしまったことを知らされ、翌朝、泣く泣く会社に向かったのだった。

1日中ずっと、身重の爽子を独り家に残しておくのは心配で仕方がなかったけれど、爽子がいつもの柔らかな笑顔で、
『心配しないで。なにか変わったことがあったら、すぐに電話するね』と言って送り出してくれたので、俺は渋々重い足取りで出勤したのだった。





いつのまにか、真冬の大通りにはふわふわと粉雪が舞い降りていた。

冷たいコンクリートの道路に綺麗な雪の結晶がたくさん積もっていき、あっという間に一面が雪景色に早変わりしていく。


………25年前の今日、爽子が産まれたときもこんなふうに、たくさんの雪が舞っていたのだろうか。


ふとそんなことが頭に浮かんで、今度、お義父さんに訊いてみようか…と考えている間に、タクシーは見慣れたマンションの前で静かに停車した。


「あの、すぐ戻るんで、待っててください!」

「あいよ!奥さんに暖かい格好させてやんなよ!今夜はえらい冷え込んでるからね!」


人柄の良さそうな運転手のおじさんに見送られて、マンションのエレベーターに乗り込み、爽子が待つ部屋の階のボタンを押す。

今日に限ってエレベーターがやけにノロノロとゆっくり動いているような気がして、少しイライラし始めたところでようやく目的の階に到着した。



「……翔太くん!」


「爽子っ!中で待ってても良かったのに!…大丈夫?身体、冷えてない?」


「ううん、ついさっき部屋を出たばかりだから大丈夫。しっかりコートも着込んできたし、すぐタクシーに乗れるよ…!」




―――爽子はもう、きちんと覚悟が出来ているようだった。


不思議なくらい落ち着いた様子で、俺に支えられながらタクシーに乗り込み、猛スピードで病院に向かう車中、静かに微笑みながら窓の外を眺めてポツリと呟いた。





「……12時までに、産まれてきてくれるといいな…。赤ちゃんがママと同じ誕生日に産まれてくるなんて、すごく素敵だよね……?」




……うん、俺も、そう思うよ。




いつもと変わらない爽子の柔らかい掌をそっと包み込んで、ぎゅっと強く握りしめた。



……もうすぐ、俺たちに新しい家族が増えるんだ。




どうかどうか、神様。




産まれてきてくれる大切なあの子の人生が、虹色に彩られた素敵な毎日でありますように。




―――もうすぐ、会えるよ。



パパとママが、楽しみに待ってるからね。





そして、俺はきっと………、


きみの元気な産声を聞いたら、やっぱり堪えきれなくて、

きみのママと一緒に、たくさんの喜びの涙を流すんだろう。









そのあと、俺たちの新しい家族が元気に産まれてきた。

きみが大きな産声を上げてこの世に誕生したのは、12月31日の日付が変わる直前のことだった。





「……はじめまして。あなたのママだよ。…これから、どうぞよろしくね…」



顔中を汗でびっしょり濡らして、けれども達成感でいっぱいの様子で目をキラキラさせた爽子が、涙をポロポロ流しながら、産まれたばかりの我が子の小さな小さな手を握ってそっと握手している。


爽子に習って、俺も反対の小さな掌を優しく握って、静かに微笑んだ。




「……はじめまして。きみのパパだよ。…俺たちのところに産まれてきてくれて、ありがとう。……本当に、本当に……ありがとう……」






俺の手のひらの中で、小さな指先がぴくん、と返事をしたように微かに動いた。


それは、確かに小さな命が誕生したのだということを再認識させられるような、ひとつの命の重さがしっかりと感じられる振動だった。




「……爽子、ありがとう。本当にありがとう…。俺、大事にするから。爽子とこの子のこと、ずっと大切に守っていくから……」




「……うん。私の方こそ…本当にありがとう、翔太くん。翔太くんがいなかったら、私、お母さんになれなかったんだもの。この子に逢えたのは、翔太くんのおかげでもあるんだよ…」




ピンク色に火照った頬にキラキラと光る涙の跡をそのままに、そんな可愛いことを言う爽子の前髪をそっと避けて、隠れていた真っ白いおでこに、優しくひとつキスを落とした。



それから、新しい家族の小さな可愛らしいおでこにも、大切にするよ、と想いを込めて、軽くキスを落とす。
しわくちゃの顔をくすぐったそうに歪ませた我が子の顔を、二人並んで覗き込んで、俺と爽子はそのなんともいえない表情の可笑しさに、クスクスと小さく笑みをこぼしたのだった。







おわり


スポンサーサイト
comment
URL:
Comment:
Pass:
Secret: 管理者にだけ表示を許可する
 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。