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2011
0512
Thu
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【*桜花咲きそめにけり*】 *第二十二幕*



しばらく順調に毎日更新できそうです。












「なんだ、これ……ずいぶんと妙なことになってるな」



屋敷の裏庭に訪れた翔太と龍は、高欄に突き刺さっている数本の矢を眺めながら首をひねっていた。


いつもより早めの朝食を済ませた翔太は、昨夜から爽子の屋敷に泊まっていた龍を連れて問題の現場に様子を見に来ていたのだ。


矢が刺さっているのは、高欄の手すりの部分だった。

「……しかし、見事な腕前だな」


しばらく黙って打ち込まれた矢を眺めていた龍が、嘆息した。


「俺も長いこと弓をたしなんできたが、こんなに正確に矢を打ち込む自信は無い」


数本の矢は見事に同じ間隔で横一列に打ち込まれており、よほどの腕前を持つ名手の仕業に違いないと推測できる。



「……一体、何の目的でこんな嫌がらせみたいなことを……」


「さぁな…。黒沼の姫は誰かに恨まれるような心当たりはあるのか?」


「いや…爽子はもう何年も前から屋敷の奥で一目につかずに暮らしてたらしいし、この屋敷の所在が解る物は黒沼の本家の者だけらあしい。誰かから恨まれるような心当たりも無いそうだ」



さきほど、朝食を食べながら話していた爽子の言葉を思いだしながら、翔太は怪訝な顔をする。



「…ただの悪戯だといいんだがな。これ以上、被害が及ばなければいいが」


「……あぁ…。…ん、翔太。そろそろ時間だ」



龍が急かすように踵を返して裏庭を後にした。

もうすぐ出仕の時間だ。


翔太の表情は晴れないまま、龍の後を追うように裏庭をあとにした。











「……姫様、お顔の色が優れませんね。少しお休みになられてはいかがですか」

縁側でぼんやりと空を眺めていた爽子の背に、綾音が心配そうに声を掛けた。


「今朝も、あまり食欲が無いようでしたし…。やはり、あの手紙が気がかりなのでございますね」


「……えぇ…」



爽子はなんともいえない苦笑いを浮かべる。



「胡桃沢の姫様は、きっとまだ翔太様を諦めになられていないのね」


「…ですが、胡桃沢の姫様が何をしようと、風早の子息様のお気持ちはお変わりになることは無いと思うのですが、」


「……だと、いいのだけれど…」


「そうに決まってます。子息様は私から見ても姫様をたいへんお慕いなされておりますし、他の女人に心変わりするなんて、天と地がひっくり返ってもあり得ませんよ」


綾音が自信たっぷりの口調で言うと、爽子は儚げに微笑むだけだった。



「…姫様、やはり顔色がよくありませんね。子息様がお帰りになられるまで、しばしお休みになってください」



爽子の消え入りそうな微笑みを、不安そうに見つめながら、綾音が爽子を寝所に促した。




「朝はほとんど何も口にしておりませんでしたね。お腹が空いてはいませんか?なにか食べるものをお持ちいたしますか」


「…ありがとう。じゃあ、白湯を一杯お願い」


「かしこまりました。すぐにお持ち致します」



寝所の敷き布団を用意し終えた綾音は、急ぎ足で台所に向かっていった。


綾音の後ろ姿を見送って、爽子はひとつ溜め息を吐いた。




「…翔太さま、何か感づいておいでだわ…」




悟られてしまわないうちに、これ以上なにも起こらないといいのだけれど…。














つづく
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