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2010
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風早くんの恋人 ~おわりのはじまり~

ミニマム爽子シリーズ第五話です。


そういえば本家の南く●の恋人ではどんな結末なんだっけ、とふと気になりヤフー先生で検索してみたら、それはもう大変どんよりしてしまいましたw
原作漫画が一番後味悪すぎるww
ハッピーエンドなのはニノ&深キョンverのドラマ版だけではないですかorz
でも結局、深キョンも元の姿には戻れないのですね…。


この話のラストの展開に向けて参考にさせてもらおうと思ったのに、それどころじゃないブルーな気分になっちゃったジャマイカ…w

ミニマム爽子を元の姿に戻さないわけにはいかないし、元に戻るための手段を何か考えないとイカンのではなかろうか…。


ああああどうしよう…(;´д`)






本編は追記からドゾー












目の前に現れたおよそ10センチメートルほどの小さな体の爽子を見て、あやねはしばらく目を見開いたまま固まっていた。

必死で脳内を整理しようと努めていたようで、長く重い沈黙のあとに、ようやくぽつりと口を開いた。





「…………………爽子?」





「……………は、はい」





名前を呼ばれ、ただならぬ雰囲気を漂わせるあやねに少々怯えながらも、爽子は律儀に返事を返した。



それから再び黙り込み、あげく眉間を指で抑え俯いてしまったあやねを、風早も心配そうに見つめている。

そして、突然弾かれたようにあやねが風早の方にものすごい勢いで振り返った。

その時、風早はこの世のものとは思えない凄まじい顔をしたあやねと目を合わせてしまい、背筋をぶるりと震わせた。

まさしく地獄に巣食う恐ろしい鬼のような、現役の女子高生の表情とは思えない般若のような迫力を纏っていた、らしい。





「…………あんた………嫁入り前の大事なウチの娘になにしてくれとんじゃああああぁあぁっっ!!!!」



「っうわーーーーっっ!?」




「あわわわわわっあああやねちゃぁあぁあんっっ!!!」




それから、風早の胸ぐらをぐわしと掴み上げて激昂したあやねを落ち着かせるのに、昼休みを丸々いっぱい使ってしまった。
結局、風早と爽子は昼食の焼きそばパンのおあずけを食らってしまうのであった。











「……で、元の姿に戻るための条件とか、なんかないわけ?」



その日の放課後の教室にて、再び集まったのは風早とあやねの他に三人増えていた。

風早の親友である龍と、その龍の幼なじみで爽子とあやねの親友の千鶴。
ついでに風早と隣の席である健人も輪に加わっていた。

健人にも声を掛けることに最後までいい顔をしなかった風早だったが、「意見を出せる人が1人でも多い方がいい」というあやねの正論に従わないわけにもいかず、しぶしぶ同行を許した経緯である。


そんなこんなで、校舎の端にある一目に付かない多目的教室にて、『ミニマム爽子の原寸大へ復活に向けて・大討論会』が開催されたのである。





「とりあえずさぁ、その胡散臭い屋台のおっちゃんが何か知ってんじゃないの?聞きに行きゃーいーじゃん」


と、さも当然のように主張したのは千鶴だったが、風早の「小さくなったその日の内に屋台があった路地に向かったけれど、屋台まるごと忽然と消えていた」という風早の答えに不機嫌そうに頬を膨らませた。


「なんだそのおっさん!やることには最後まで責任持てー!むかつくむかつくー!あーラーメン食いたくなってきた!胸くそ悪いっ」


「……ラーメン食ったら余計に胸焼けすんだろ」



…ぽそりと突っ込みを入れた龍の言葉には反応せず、千鶴はしばらく「むかつく」を連発していた。




「原因は間違いなくそのおっさんがくれたクッキーでしょうね。…小さくなるクッキーがあるんなら、逆に大きくなるクッキーもあるんじゃないの?」



「……あったとしても、屋台のおっさん捕まえないことにはどうにもなんないよ」



重いため息を吐いて頭を抱える風早を見上げて、爽子が心配そうにおろおろと目を泳がせている。


そんな爽子をじっと見つめていた健人が、おもむろに爽子の体を手のひらに乗せて、自分の制服シャツのポケットにポトリと落とした。



「おー、なんかハムスターっぽいねー。可愛い可愛い。持って帰りたいなー」



「ふざけんな三浦!今すぐ黒沼返せっ!それ彼氏特権だからっ!」



「……なんでもかんでも彼氏特権って言っとけば許されると思うなよ」



冷静なあやねの突っ込みは耳に入らなかったらしい風早は、しばしの間、健人とのミニマム爽子争奪戦を繰り広げていた。






結局、まともな意見が出なかった討論会はあっさり閉幕し、一同はとぼとぼと重たい足取りで帰路についた。


秋の夕空は陽が落ちるのが早く、ピンク色の空にはうっすらと月が浮かんでいる。


夕焼け空を見上げながら、風早はぐるぐると思考の渦に呑まれていた。


…自分が爽子のためにしてやれることなど、今は何一つ見つからない。


毎日、あんなに不安そうに涙で瞳を濡らす爽子の姿を見ているために、無力な自分に歯痒さを感じずには入られなかった。


…これから、爽子と共に歩んでいきたい未来がある。

その未来のために、自分が爽子にしてやれることが、なにか一つでも見つけられれば…。




そんなことを延々と考えていた風早は、いくつかの別れ道で皆と別れた頃に、ようやく胸ポケットの中の爽子の異変に気がついた。




「………黒沼っ?」




爽子の様子をよく見ると、小さな肩が荒い呼吸で小刻みに震えている。

額は冷や汗でびっしょりと濡れていて、淡く色づいていた頬は青白く血の気が感じられないように見えた。
細い片腕が心臓を掴むように強く胸元を握り占めていて、爽子は荒い息を整えようとぎゅっと瞼を瞑っていた。




「…黒沼っ!?どうしたの、黒沼!?」




「……ぁっ…か、ぜはや、く……っ」




風早の手のひらにぐったりと横たわった爽子の手は、未だ心臓のあたりをぎゅっと強く掴んだまま離さない。






「………心臓が…っ…痛いよ……っ」






2人の知らぬ間に、運命のタイムリミットは刻々とすぐそこまで迫ってきていた。









つづく

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