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2010
0823
Mon
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【*桜花咲きそめにけり*】 *第十七幕*



平安パロ第十七幕です。

なんとか梅姫と健人を幸せにしてやりたいと思う今日この頃です…w

爽姫と翔太さまはすっかり落ち着いてしまったんでw



本編は追記から。















「……翔太さま、」


「…んー…」


「翔太さま、そろそろ」


「んー、まだ大丈夫だろ…」


「もうとっくに陽が上ってますよ」


「…まだ眠い…」


「起きてください。もうすぐ綾音ちゃんと千鶴ちゃんが朝餉(あさげ)を持ってきてくれます」


「まだ腹が減ってない」


「まあ…そんなことを言ったら、せっかく料理してくれた二人に悪いですよ」





そろそろ秋の気配が漂ってきて、夏の終わりも近づいてきた。

爽子の寝殿で共に一夜を過ごしていた翔太は、寝ぼけ眼のままむくりと起き上がり、のろのろとした動作で爽子の体を抱き寄せた。



「きゃあっ…翔太さま、」


「そなたは暖かいな…それに柔らかいし、きもちいい」






「姫様、朝餉をお持ちしました」



その時、寝殿の襖が静かに開いて、朝餉の料理が盛られた器を乗せた台盤を手にした綾音と千鶴がやってきた。



「……子息さまは、なにをしてらっしゃるのですか」


綾音が呆れた目線をちらりと翔太に向けながら、爽子の前に朝餉の台盤を置く。



「子息さまは、めっきり朝が弱いですもんね。さっ、朝餉を食べて目を覚ましてください。今朝は鯛の羹(あつもの)をご用意しました。美味しいですよ!」


千鶴も同じ料理が盛られた台盤を翔太の前に置いて、得意げに胸を張った。


「翔太さま、いただきましょう?冷めてしまっては美味しくないですよ」


翔太はまだ爽子を抱きしめたまま、まるで離れたくないとばかりにぎゅうっとしがみついている。



「とりあえず、姫様だけでも解放してやってはくださいませんか。そのままじゃ姫様が朝餉を召し上がれません」


「…むぅっ…」


「そんなに食べたくないなら、無理に食べてくださらなくても結構ですよ。…千鶴、子息さまの台盤をお下げして」


「…あーー、待て待て!わかったわかった食うから!」


「…はじめからそう言えばいいではないですか」


「……なあ爽子姫。前から思ってたんだが、綾音は少々俺に冷たくないか?」


「…私は姫様に御使いする女房ですので、姫様の味方なだけです。…つべこべ言ってないでさっさと食べちゃってください。さもなくば今度こそお下げしますよ」


「あー、わかったわかった!……ほら、やっぱり冷たいじゃないか……」


ぶつぶつと不満そうに何かを呟きながら、翔太は胡瓜の漬物をポリポリと噛み砕いた。

爽子も箸を手に持ち、行儀良く「いただきます」と言うと、鯛の羹に箸を付け、口に運ぶと「美味しい」と微笑んだ。


「それは良かったです。作った甲斐がありました」


「本当に綾音ちゃんと千鶴ちゃんはお料理が上手ね。二人共、下がって朝餉を食べてちょうだい?朝早くから朝餉の支度をしてくれて、ありがとうね」


「なにを仰るんですか、姫様。これが私たちの仕事ですから」


どんとこい、とばかりに胸を拳で叩いた千鶴を頼もしそうに目をやって、爽子は「いつもありがとう」と礼を述べた。

綾音と千鶴が寝殿を後にしてから、翔太がおもむろに口を開いた。



「あのな…そろそろ、蔵人(くろうど)見習いとして出仕を始めようと思うんだ」

「…出仕、ですか…」


「今はまだ無理だが、いずれはそなたと結婚するつもりでいるんだし、ある程度は自立していなくてはな」


「………」


「……どうした?」


「蔵人所にお勤めを始めたら、毎日一緒には居られなくなりますね…」



爽子がどこか寂しそうに顔を伏せて、きゅっと翔太の単の裾を握った。



「……そりゃあ、今みたいに一日中一緒には居られないが、俺が帰ってくる家はここに違いないぞ?」


「…私は一向に構いませんが、風早のご両親様がご心配なさっているのでは…?もう一ヶ月も風早の家にお帰りになられていないじゃありませんか」


「…風早の家とは、絶縁してきたんだ。爽子姫のことは認めてくれないし、無理やり縁談を持ち掛けるし、うんざりしてたんだ」


「……まあ…そんな……」


爽子が困ったように顔を曇らせたが、翔太が笑いながら片手で爽子の黒髪を撫でた。



「心配するな。俺は何があろうと爽子姫から離れるつもりは無いし、爽子姫以外の女人と婚約するつもりもない」



「…翔太さま……」



翔太が爽子の腰をぎゅうっと抱き寄せて、ぴとりと抱き合うと、爽子も安心したように翔太の胸にことんと頭を乗せた。



「……多くは、望みません…」


「…うん?」


「…こうして、おそばに居れるだけで幸せなのです。世間に認めてもらえなくても、翔太さまと共に日々を過ごしてゆけるのなら、それだけで十分です」


「…爽子姫…」



爽子の小さな顎を上向かせ、翔太はふわりと甘く柔らかい桃色の唇に口付けた。

そのまま寝殿の布団の上にゆっくりと爽子の体を押し倒し、慌てて起き上がろうとした爽子を口付けで押さえ付け、にやりと口角を上げた。



「……んっ…ぁ、はっ…翔太さまっ」


「…ん?」


「ま、まだ日が明るいですっ」


「そうだな」


「御簾が下りていないのです、外から見えてしまうかも…っ」


「見せつけてやればいい」


「そんな無茶苦茶な…!」


「この屋敷には滅多に客も来ないだろ」


「…そ、そういう問題では…っ」


困惑しながら頬を林檎色に染める爽子を無視して、翔太は単の襟元に手を伸ばした。
襟の合わせから掌を滑り込ませ、するりと柔らかく絹のような爽子の肌を撫でる。



「…っ…ひゃっ…」


「もう遅い。なにを言っても離さないぞ」


「……翔太さま、の…いじわる……っ」




「なんとでも言え」




不敵ににやりと笑みを溢す翔太の背後に、朝餉の残りを拝借しに黒猫のマルがどこからかやってきた。
マルは二人をちらりと眺めたが、鯛の骨を加えると呆れたように「にゃあ」と小さく鳴いて、御簾の向こうに姿を消した。






……それから、爽子が翔太の腕の中から解放されたのは、実に三時間後のことだった。







第十八幕につづく


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