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2010
0820
Fri
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【*桜花咲きそめにけり*】 *第十六幕*



平安パロの第十六幕です。
約1ヶ月ぶりの更新になってしまいました。お待ちいただいてた方スミマセン…。



本編は追記から。

















後方から聞こえた聞き慣れない声に振り向くと、そこには知らない顔の少年が立っていた。
歳は同じくらいだろうか。身なりからして父親が高い地位にある家の子息なのだろう、まだあどけない顔をした黒髪の少年は、河原で涙を流す梅を心配そうに見ていた。




「…大丈夫?なにか、あったの?」


「……えっ……」



今まで、健人以外の男子から話しかけられたことがなかった梅は、大層びっくりした。

涙で濡れた大きな瞳は、ぱちくりと瞬きを繰り返して、少年の姿をじっくり観察する。



「なにがあったか知らないけど、元気だしてな!」



少年は何も言わない梅に向けて、爽やかな夏風のような柔らかい笑顔を浮かべた。

その微笑みは、ささくれ立った梅の傷ついた心に、じわりじわりと優しく染み渡っていく。




「……あ、ありがとう……」




思わず、梅は微かに微笑んで少年に返事をしていた。

梅の笑顔を見て、少年もほっとしたような顔をして、片手を上げて左右に振った。




「…うん、笑ってたほうがずっといい顔してるよ。じゃあな!」




そうして去って行った少年の後ろ姿が見えなくなるまで、梅はいつまでもいつまでも手を振っていた。



健人以外に、初めて心を許せた男の子。



…どんなひとなのかな。






それから梅は、様々な手段を尽くして、出会った少年のことを調べはじめた。


少年の名前は、風早翔太。
京都で名のある風早家の子息で、その端正な顔立ちと爽やかな人柄から男女問わず愛されている人気者。
密かに翔太に恋焦がれる女房は数知れず、三浦家の子息である健人とほぼ互角の人気があるらしい。

特技は乳兄弟である真田龍に習っている弓道や、友人たちと蹴って遊ぶ鞠(まり)。

今のところ許嫁や婚約者の存在は無く、女っ気のない生活を送っているとのこと。





…翔太さまと、もっとお近づきになりたいな。





そうは思ってみたものの、それからしばらくは翔太との接点もないまま、数年の月日が経っていた。


梅は、十七歳になっていた。この歳になれば、おなごは嫁に行ってもおかしくない年齢である。

あの事件以来、健人とはほぼ絶縁状態を続けている梅を心配して、梅の父親は新しい縁談を進めていた。


ある日、梅は父の部屋な呼びだされ、縁談の話を聞かされた。



「三浦の健人くんとは上手くいっていないみたいだし、お前もそろそろ嫁入り時だからね。新しい縁談を進めてみたんだ」




「風早のご子息といえば、お前も名前くらいは聞いたことがあるだろう?彼の両親と先日、話をしてきたところだ。縁談は成立したんだが、どうかね?彼の許嫁になる気はあるかい?」




その話を聞いて、梅は考える間もなく縁談を承諾した。
神様が願いを叶えてくれたのだとしか思えなかった。

密かに思いを寄せていた翔太のお近づきになれる。




健人に裏切られたことで深く刻まれた心の傷も、彼なら優しく癒してくれることだろう。




……ああ、これでようやく楽になれるんだ。





肩の荷が下りたようにホッと胸を撫で下ろして、梅は自室に戻った。

後日、日を改めて、梅も交えて風早家に挨拶に伺うことも決まった。





その時の梅にはまだ、知る由もなかった。



自分の許嫁になるはずの翔太に、大切な想い人が存在するということなど……。











第十七幕につづく


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