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2010
0818
Wed
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風早くんの恋人 ~おわんのおふろ~

以前、「制服ポケットのおうち」をアップした時に、
「ぜひお椀のお風呂をミニマム爽子に!」というリクエストをいただいたので書いてみたw




















そのあと、最初の一時間目の授業だけをサボった風早とミニマム爽子は、「授業は真面目に受けないといけません!」という爽子のお説教を受けた風早が渋々頷いて、爽子を校舎の中にある滅多に使われていない多目的教室に連れてくると、机の上にそっと下ろした。



「――いい?まあ、大丈夫だと思うけど、万が一誰かが入ってきたら、すぐ隠れるんだよ?姿を見られたら厄介だから」


『うんっ!気をつけるね…!』


こくこくっと頷いた爽子の頭を人差し指で優しく撫でて、風早は心配そうにため息をついた。


「…やっぱ心配だなあ…一人きりで居させるのは…もしなんかあっても、こんな小さな体じゃ、なにもできないんじゃ…」


『か、風早くん!わたしは大丈夫!この教室、滅多に使われないからきっと誰も来ないよ!だから、心配しないで…!』


頭を撫でていた風早の人差し指を両手できゅっと握りしめて、ミニマム爽子が必死に説得する。


ながて、二時間目の授業が始まるチャイムが鳴って、風早は名残惜しそうに教室を出て行った。


爽子は風早の忠告を思い出し、万が一の時のために、黒板の前にある埃の被った教卓の裏に身を隠すことにした。
元の姿の時にはほんの数歩で辿り着けるのに、ミニマムなこの姿では数分が掛かってしまった。


『…よいしょ…よいしょ…っ…ふう、やっと着いた…』


教卓の裏にそろりと身を隠して、爽子は体育座りでちょこんとその場に落ち着いた。



『…やっぱり、今のままの小さい姿じゃ不便だなあ…』



しみじみとそう実感したミニマム爽子は、改めて決意を強く胸に誓うのだった。



『…一刻も早く、元の姿に戻らなければ…!』







無事に四時間目を終えて帰ってきた風早は、校内の売店で買ったパンの袋を片手に持っていた。



「お待たせっ。四時間も待たせてごめんな。お腹空いたでしょ?」


持っていたパンの袋を開けて、中身のジャムパンを指で小さな塊に千切ると、それを爽子に差し出した。



「きっと、このくらいの大きさでお腹いっぱいになるよな?」


風早がなんだか可笑しそうに微笑むので、爽子もクスリと笑って両手いっぱいの大きなパンの塊を受け取った。












放課後、ミニマム爽子は再び風早の制服の胸ポケットの中で、揺られながら帰路についた。


その道中、風早はふと気になった疑問を爽子に問いかけた。



「あのさ、黒沼のお父さんとお母さん、心配してないかな?そういや、なんの連絡もしてなかったよな」


『あっ、それは大丈夫!昨日の夜、携帯でお父さんに連絡したの。あやねちゃんの家でお泊まり会をすることになったからって』


「そっか。じゃあ今のところは大丈夫だな…。でも、いずれはちゃんと黒沼んち行って説明しないとな…」

『…うん…。今日の夜には、ちゃんと私の家に帰らないといけないことになってるし…』


こんなことなら、あやねちゃんの家に何日か泊まることにしておけばよかったかな…。
と爽子は後悔しかけたが、難しい顔をした風早がそれを遮って口を開いた。


『んー…いや、いつまでも誤魔化しててもダメだから…明日あたり、ちゃんとご両親に説明に行こうか?』


「…そうだね…今日の夜、携帯からまた連絡しておくよ…」


心なしかしょんぼりとうなだれているように見えるポケットの中の爽子を手のひらに乗せて、風早は人差し指で爽子の頭を撫でた。



「黒沼、元気だして。俺は黒沼の見方だから。必ず、元の姿に戻れるように、一緒にがんばろうな」



風早の人差し指で頭をナデナデされると、爽子は不思議と元気が湧いてくることに気づいた。


…風早くんの指は、魔法使いの杖みたいだな…。


元気を分けてくれてありがとう…。爽子はそんな思いを込めて、風早の人差し指にそっとキスをするのだった。







無事に風早家に着いた風早とミニマム爽子は、遠慮がちに爽子が呟いた言葉に頭を抱えていた。



『あの…無茶なお願いかもしれないけれど…』


「ん?なんでも言って!できる限りのことは協力するよ」


『あのね…昨日、お風呂に入ってないから…お風呂に、入りたいな…』



さて、小さな爽子を風早家の浴室に連れて行くことは簡単だったが、そこからが問題だった。


身体は小さくなったとしても、服を脱いだ裸身を、例え恋人にも見られるのは爽子の羞恥心が許さなかった。


だが、シャンプーやボディーソープの容器など、ミニマム爽子の目の前には巨大な建造物かのように立ちはだかる。

とても爽子一人で身体を洗うことなど出来なさそうだ。



「……あっ!いいこと思い付いた、かも!」



風早は浴室に爽子を残し、キッチンに向かうと、なにやら食器棚から味噌汁用のお椀を手に戻ってきた。


そのお椀に温かいお湯を注いで、更に刺身用の醤油皿にシャンプーを少し注ぐと、ボディーソープ代わりの石鹸も千切り取ってひとかけら調達した。


「着替えは、とりあえずハンカチで代用できるかな?」


得意げに笑みを浮かべる風早をキラキラした眼差しで見上げて、爽子はぽつりと呟いた。



『…さ、さすが、風早くん…!』




そんなこんなで、爽子を連れて二階の自室に向かった風早は、勉強机の引き出しを開けて、中身の文房具などを取り出した。
その中に、お湯が入ったお椀と、シャンプー皿に石鹸の欠片、更に使ったお湯を捨てるためのもうひとつのお椀を配置して、爽子をその引き出しの中に入れてやる。


「こうすれば、俺からは黒沼が見えないから。ちゃんと引き出しの隙間は開けとくから、空気も澱まないしね」


『あ、ありがとう…!風早くん!ほんとにありがとう…!』



爽子はほんとうに嬉しそうにふわりと微笑んで涙をうっすら浮かべながら、風早に向かって丁寧にお辞儀した。



「あははっ。大げさだなあ」


『わたしのこんなワガママまで叶えてもらって…迷惑かけてばかりでごめんね…』


ひたすら恐縮する爽子の姿に苦笑いして、風早は人差し指でつん、と爽子の頭を優しく突っついた。



「……言ったでしょ?…俺は、黒沼の味方だって」









つづく!
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