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2010
0710
Sat
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【*桜花咲きそめにけり*】 *第十三幕*



平安パロシリーズ第十三幕です。


ここまできて、こりゃどう考えても15話では終わらないことに気付きましたw

え、えーと…じゃあ全20話くらい?w



本編は追記からー。




















「………遅い……」



爽子たちが屋敷を出てから30分後。
爽子の部屋の縁側に座り、膝の上に飼い猫のマルを引っ張り込みながら、翔太はぼそりと呟いた。


ちなみにこの男、爽子が居なくなって10分後にも同じようなことを愚痴っており、無理やり膝の上に連れ込まれたマルは、もし自分に言葉を喋れる機能があるなら真っ先に「んな早々に帰ってくるわけねーだろ、この色ボケがっ」と言い放ってやりたいと心の底から渇望したのだが、知っての通り、猫は喋れない。




「…さわこひめ…あいたい…」





……ああ、鬱陶しいことこの上ない。


爽子が居なくなると、うざったいほどに女々しく変貌する翔太にほとほとウンザリして、マルはめんどくさそうに一声泣いてから、もぞもぞと翔太の膝の上で丸くなった。




健気な忠犬のように、その場で微動だにせずに爽子を待ち続けた翔太は、いつしか陽のあたる縁側でマルと一緒に丸くなりながら眠りについていた。

膝から下に向かって掛けていたのは、爽子の桜の匂いがする香が染み込んだ淡い桃色の単である。

あれからしばらく爽子の不在にイライラと落ち着かずに貧乏揺すりを始めた翔太をいよいよ見かねて、マルがいそいそとどこからか爽子姫の単を口でくわえて引き摺ってきて、翔太に与えたのである。



「…マル…おまえは優しいな……」



若干、涙目になりながらマルの頭をよしよしと撫でた翔太は、ほくほくと幸せな気持ちで縁側に横になったのであった。

















「…ただいま戻りましたー…。翔太さま、遅くなりまして申し訳ありません」



カタン、と玄関先の物音に目を覚ました翔太は、バタバタと慌てた足取りで部屋の襖を開けた。



「…爽子姫っ!!」



「お待たせしてしまい申し訳ありません、翔太さま」


にこりと微笑んだ爽子は、有無を言わさず己の胸に爽子の体を引き寄せた翔太に黙って従い、慈しむようにその広い背中に手をまわしてぎゅっと抱きしめ返した。



「寂しかったんだぞ…ほんとに寂しかったんだからな…」


「お留守番、ごくろうさまでした」


「うん、もっと褒めてくれ」


「ご立派ですよ、翔太さま」


「頭は撫でてくれないのか?」


「…まあ、急に甘えん坊になりましたね」




しばし頬を膨らませて拗ねている翔太をニコニコと眺めながら、爽子は少し背伸びして翔太の頭をよしよしと撫でてやると、満足げにされるがままだった翔太が、「ご褒美に膝枕を頼む。昼寝の続きだ」と申し出てきて、断りきれない爽子はおずおずと翔太の要望に従うのだった。









相変わらずへらりとした呑気な笑みを浮かべて、健人が爽子の屋敷の玄関に現れたのは、それから数日後の午後のことだった。



健人が訪ねてきたとき、ちょうど綾音と千鶴と共に台所で和菓子を作っていた爽子は、手が離せないから代わりに客人を迎えてきてほしい、と申し訳なさそうに翔太に頼んだ。
それを快く承諾した翔太は、まるでこの屋敷の住人かのような堂々とした顔で玄関の戸を開けて、現れた見知らぬ男の顔に怪訝とした。





「……おや、君が噂の翔太さまかな?」




予想していなかったであろう翔太の登場にも動揺すらせずに、健人は相変わらずへらへらと笑っている。




「…失礼ですが、どちら様ですか」



どことなく刺がある口調で翔太がじろりと健人を睨んだ。



「やだなあ。そんな怖い顔しないでよ。俺は三浦家の子息の健人といいます。以後、お見知りおきを」


愛想の良い笑顔を翔太に向けて自己紹介を済ませると、まるで試すような眼差しで翔太を見据えた。



「こちらに、爽子姫様がご在宅だと伺ったのだけれど。姫に会わせていただけるかな?」


「生憎、どこの誰だか知らない奴に、姫を会わせるつもりは無いのだが」


未だに敵意の隠った視線で睨まれている健人が、困ったように頭を掻いた。



「…思ってたより恐ろしい方だね、風早のご子息くんは。おなごたちの噂では、爽やかで人当たりの良い優しい青年だと聞いてたのだがね」


「勝手なことを言われても困るな。お前、いったいここに何しに来た?」


「なにって…俺は姫様の婚約者だからね。後の妻になる愛しの姫様に会いにきてはいけないのかな?」


「…はぁ!?お前、なにを馬鹿なこと言って…」




その時、玄関の騒ぎに気づいた爽子らが、慌てた足取りで奥から姿を表した。



「…翔太さま?いつまでも玄関先でどうかなさいましたか?………まあっ…三浦さま!」



客人の姿を目に捉えた爽子が、口元に手をあてて驚きの声を上げた。





「やあ、爽子姫!未来の妻に会いにきたよ」





健人がパチンと片目をつむりウインクをして、花でも飛ばしそうな雰囲気でニコリと微笑んだ。








第十四幕につづく



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