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2010
0531
Mon
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【*桜花咲きそめにけり*】 *第七幕*



平安パロの第七幕です。

出そう出そうと思っていたくるみを前回からやっと登場させることができました。
くるみが出てきたことによって、話が転がり始める予定…ですw


本編は追記からゴーです。














春の風に煽られて舞い込んできた桜の花弁が、爽子の長い黒髪に何枚も絡まっている。
翔太はそれを横目に捉えながら、爽子姫の細い肩に手を置いて、ゆっくりと触れ合わせていた身体を離した。
俯いて目を伏せていた爽子姫がゆっくりと顔を上げて、ゆらゆらと揺れる湿った瞳が翔太の視線とぶつかった。


「……しょ、…た…さま……」


蚊の鳴くような小さな囁きが、翔太の耳に届く。


「……さわこ、ひ…め…」

「………わたくし、も…」


こくん、と爽子が唾を呑む音が聞こえたような気がした。




「…わたくしも、あなたさまのことを愛しております……」



頬を真っ赤に染めて、爽子がその小さな手で翔太の単の襟をきゅっと握る。

爽子の言葉がすぐに信じられなくて、翔太はしばらくポカンと口を開けた間抜けな顔で固まっていた。

爽子が訝しげにそっと声を掛けて、やっと翔太は反応を示した。途端に耳や頬は真っ赤に染まり、慌てて呟いた爽子の名前は、ひっくり返っておかしな声色になっていた。




「………夢みたいだ………」




爽子の白い両手を取って、きゅうっと包みこむと、それに願掛けをするように額に添えて、翔太は絞り出すような声でそう言った。






* * *






「……それで?ご子息さまは何て?」


「えっ…えっと…、わ、わたくしはもう翔太さまのものだから、他の殿方の前に姿を見せてはいけない、とか…」


「……なんでです?」


「おっ…おっ…おこがましいのだけれど…っ!…わ、わたくしが、この世のなかの何よりも可憐で純粋で美しいので、誰かがわたくしに惚れてしまっては困るので……絶対に誰の目にも晒したくないと…お、仰ってくださいま…した…」


そこまで言って、ついに羞恥に耐えきれなくなった爽子が両手で顔を隠して、そのまま畳に突っ伏してしまった。


「……そんな歯の浮きそうな台詞も、あのご子息さまが仰ると何故かやけに爽やかに聞こえるから不思議よね」


「うげーーっ。あたしなら耐えらんない!そんな甘ったるくて気持ち悪い台詞聞かされたら、相手の顔面殴りかかるかも!」


「………大丈夫よ。龍は間違っても、そんな砂糖たっぷりの甘菓子に蜂蜜かけたようなセリフ口走ったりしないから」


「………は?綾音ちん何の話してんの?」


「……気にしないで。独り言よ」



その時、渡り廊下を挟んだ玄関の方角から、来客を告げる見知らぬ者の声が聞こえてきた。どうやら、屋敷の者を探しているらしい。


「…誰かしら?この屋敷にはご子息さま以外にはほとんど来客がないはずなのに…」


「風早のご子息じゃないの?」


「なに言ってんのよ。さっき帰ったばっかりでしょ」

「いや、『道端で可愛らしい小花を摘んだから、爽子姫に似合うと思って』とか口説き文句を言いに来たのかと思ってさ」


「…………あり得るわね」


綾音と千鶴がくすくす笑い合いながら渡り廊下を進み、玄関の引き戸を引くと、たくさんの女房を従えた、育ちの良さそうな身なりをした品のいい姫君が凜とした面持ちで佇んでいた。



「……失礼ですが、どちらの姫君さまでいらっしゃいますか?」


訝しげな目線で綾音が声を掛けると、姫君はどこか陰のあるような艶かしい声で、静かに告げた。



「……わたくし、胡桃沢家の大君で風早翔太さまの許嫁の、梅と申します」



許嫁、という言葉に、綾音と千鶴はかちんと身体を固まらせた。




「……こちらに、黒沼家の大君でらっしゃる、爽子姫は御在宅かしら?…ぜひ、お目に掛かりたいのだけれど」









*第八幕につづく*
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