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2010
0520
Thu
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【*桜花咲きそめにけり*】 第四幕

書く書く詐欺ですんません…(スライディング土下座)

お待たせしました連載再開ですー!




本編は追記からゴーです。








その日は晴れやかな小春日和で、暖かな陽気が気持ちよい春らしい天気だった。
屋敷の裏庭の八重桜をよく見ようと、爽子の部屋の格子を開けて、翔太と爽子は二人並んで縁側からお花見を楽しんでいた。


「今日は、綾音ちゃんと千鶴ちゃんに手伝ってもらって、粉熟(ふずく)を作ってみました…」

爽子が、小鉢に盛られた手作りの菓子を翔太に差し出す。


「わーっうまそう!爽子姫が作った菓子は本当に美味いよなぁ」

「いえいえそんな滅相もない…!翔太さまのお口に合えばいいのですが…」


いただきます、と一言告げて、翔太が小鉢の中の粉熟を一つ摘まんで頬張った。

「おっお味は如何でしょうか…!」

「んっ…美味い!俺これ好き!」


翔太がお日さまのような爽やかな笑顔で爽子に笑いかけた。
不安そうに翔太の様子を伺っていた爽子は、翔太の笑顔にほっと胸を撫で下ろす。


「よかったぁ…粉熟を作るのは初めてでしたので…うまく出来るか心配だったんです」

「すごく上手にできてるよ!また作ってよ」


翔太の柔らかな表情につられて、爽子もふわりと花のように笑った。
二人の間には穏やかな空気が流れて、その雰囲気などお構い無しに、庭から散歩帰りの黒猫が姿を表した。

「あっ…ねこさん、おかえりなさい!」


ちりりん、と黒猫の首輪に垂れる大きな丸い鈴が音を立てて、黒猫はひょいと縁側に飛び乗ってきた。


「ねこさん、粉熟食べる?」


爽子が粉熟をつまんで黒猫の口元に菓子を寄せると、黒猫はくんくんと匂いを嗅いでから、ぱくりと粉熟にかじりついた。


「…ねこさん?」

「…えっ?」

「この猫…名前ないの?」

「あっ…そういえば…特に決めてはいませんでした…」


二個目の粉熟を加えた黒猫の頭を撫でながら、翔太はしばしムムムと思案顔。


「まる…なんてどうかな?」

「まるちゃん?」

「まん丸い鈴を付けてるから…まる」

「わぁっ…!かわいいですね!」


黒猫が爽子姫に飼われてから1ヶ月ほど。
ようやっと、きちんとした名前がつけられたのだった。









「…しょーた、」

「…ん?」


週に二回の弓道の練習の日。
風早家の大きな庭では、休憩中の翔太と龍が袴を着たまま、並んで縁側に腰掛けていた。
風早家の女房が二人分の湯飲みと菓子を持ってきて、二人の間に置いていった。

翔太の乳兄弟である龍は弓道に通じていて、週二回の弓の稽古のためにしばしばこうして風早家に訪れているのである。


「…最近、どっかに通ってたりする?」

「……えっ!?」


熱い煎茶が注がれた湯飲みを片手に、龍が静かに問いかける。
翔太はいきなりの追及にびくりと反応して、心なしか頬をほんのり赤く染めた。

「…なっ、なんで?」

「いや…なんか最近、稽古してても上の空みたいだから」


確かに、龍の言う通りではあった。
爽子姫に出逢ってからというもの、翔太は四六時中、爽子のことを考えて過ごしていた。
朝も昼も夕刻も、今頃爽子はなにをしているだろうとか、道端に咲く美しい花を見つけたら、爽子に見せてやりたいと思いを馳せたり。


「……気に入りの女でも見つけたか?」

「……ぶはぁっ」

「…うわ、きたねっ…」


翔太が口に含んでいた煎茶を吐き出して、動揺しながら咳き込む。
龍は翔太の背中を撫でながら、「…図星か?」と更に畳み掛けてくる。


「……まだ内密にしてくれよ…?」

「…おおっぴらに人には言えない相手なのか?」

「…いや、まあ…」


爽子と出逢ってから知ったことだったが、どうやら爽子の父である黒沼氏が属す派閥は、風早家とは敵対関係のある一派であったのだ。

只でさえ、見合い話の件で父と確執を起こしてしまったというのに、黒沼家の姫君と交際しているとばれようものなら、何を言われるかわかったものではない。


「……まだしばらくは…秘密にしておきたいんだ…」

「……そうか」


龍が静かな笑みを見せて、弓矢を手に立ち上がる。そろそろ練習再開の時間だ。

「…もっと色々訊かれるかと思った」


翔太が意外そうに弓矢を持って立ち上がると、庭に出ていた龍が振り向いた。


「翔太が幸せそうなの、十分伝わってきたから」



からかうような龍の言葉に、翔太は恥ずかしそうに頭を掻いた。








*第五幕につづく*


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