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2009
0827
Thu
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【 黒猫の恩返し 】 前編

またまた先ほど某掲示板に投下したものです。


ファンタジー色が強いのでイヤンな方はスルーよろです( ̄▽ ̄;)

爽子が黒猫に変身して風早に拾われる話ですw



では本文は追記からどーぞ。





母から夕飯の材料のおつかいを頼まれていた爽子は、夕日に照らされた歩道を歩きながら、ふとある光景に目を止めた。

艶やかな黒い毛並みをした一匹のちいさな仔猫が、横断歩道のまんなかで立ち往生している。

青信号はチカチカと点滅して車の往来を警告しているけれど、動物にその意味が通じるはずもなく、
黒猫はどこかおぼろげな足取りでヨチヨチと震える前足を動かしようやく歩き出した。
このままでは、間に合わない。道路の向こうから乗用車がゆっくりとこちらに向かって走ってくる。
黒猫は迫る危険に気づかず、歩調を変えずにまだ横断歩道の中間にいた。

爽子は思わず走り出した。赤信号に変わった信号がチラリと視界に入る。だが、このまま黒猫を放っておけない。
危機一髪、黒猫が爽子の両腕に抱き抱えられる頃には、向かってきていた乗用車は横断歩道をビュウンと横切って行った。

はあはあ、と弾む息を落ち着かせながら、爽子は腕の中の黒猫に微笑んだ。

「…よかった…間に合って…」

ふと黒猫の右足に目を移すと、細い足首に大きな切り傷が浮かんでいた。
ガラスかなにかでつけたような傷は、まだ毒々しい真っ赤な血が滲んでいる。

「たいへん、怪我してるっ…」

黒猫がニャア、と痛々しい鳴き声をあげた。爽子はしっかりと黒猫を抱き直すと、急ぎ足で自宅への帰路についた。


「…よし、これで大丈夫だよ」

家に帰ってすぐ、爽子は家の薬箱から包帯と消毒液を手に取り、二階の自室で待つ黒猫に手当てをはじめた。
血を拭き取った傷痕に消毒液をあてた時、小さくニャアと鳴いただけで、黒猫は大人しく爽子に身を委ねていた。
くるくると足首に包帯を巻き終えて、爽子は帰り道の途中で寄り道したスーパーの買い物袋から猫のエサが入った缶詰を取り出した。
「猫ちゃんのお口に合うといいんだけど…」

かぱっと缶詰の蓋を開けて黒猫の前に置いてみる。
黒猫はふんふんと何度か鼻を鳴らすと、美味しそうに缶詰の中身を食べた。
あっという間に缶詰をペロリと完食し、舌で口の周りをペロペロ舐めたあと、
爽子の膝にちょこんと乗り上げ、そのまま体を伸ばして爽子の頬をペロリと舐めた。

「ふふっ…くすぐったい…」

なんだか、黒猫からお礼を言われたようで嬉しくて、しばし爽子はそのまま黒猫に顔中を舐められていた。
自分は昔から子供や動物には怖がられることがほとんどだったのに、この猫ちゃんは平気なのかな?

疑問に思う爽子だけれど、こんなに自分になついてくれた動物ははじめてで、ただただ嬉しくて、小さな黒猫をギュウと抱きしめるのだった。

その夜、爽子は黒猫と一緒にお風呂に入り、黒猫の汚れた体を丹念に洗ってあげると、
すっかり爽子に心を許した様子の黒猫と一緒に、同じ布団で添い寝した。

そして、爽子は夢を見た。辺りは真っ白な何もないところ。ここはどこだろうと見渡すも、なにもない。
すると、目の前に黒猫が現れた。
猫ちゃん、と声をかけると、黒猫はちょこんとその場に座り込んで、爽子を見上げた。

『助けてくれて、ありがとう。お礼といってはなんだけど、あなたに不思議な体験をさせてあげる』

ええっ?猫ちゃんが喋った!?
驚きで目を丸くしていると、黒猫は爽子の周りをぐるりと一周しはじめた。
何が起こるのかと身を固くしていると、自分の体が淡い金色に光始めたことに気づく。

『1日だけの効果だけど、きっと楽しんでもらえると思うわ』

そして、なにやら不自然に自分の体が縮んでいくことに気づく。

『それまでは、わたしがあなたの代わりをつとめてあげる』

不思議なことに、自分と瓜二つの姿をした長い黒髪の少女が、微笑みながらこちらを見下ろしていた。

待って、猫ちゃん、どういうこと?

そう言おうとして、声を上げた。
けれど、おかしなことに口から飛び出したのは、
ニャア、というか細い鳴き声だけだった。

えっ…ええええ!?


ふと自分の体を見下ろしてみる。見覚えのある真っ黒な毛並み。裏返した手にはピンク色の肉球。
頭に手をやれば、ピョコンとふたつの飛び出た三角の耳。お尻からはひょろりと長い黒い尻尾がのぞいている。


わ、わたし…どうなっちゃったの…!?



瞼の裏で朝日の光を感じて、うっすらと目を開けた。『ああ…なんだ、夢か』と内心ホッしていると、パタパタと階段を上ってくる足音が聞こえてきた。きっとお母さんだ。

ガチャリと部屋のドアが開いて、爽子の母が顔を覗かせた。

「爽子ー!そろそろ起きないと遅刻するわよー!」

起き上がって返事をしようと口を開こうとするより早く、隣から声が上がった。
「はぁーい」

えっ!と驚いて振り向けば、そこには自分とまったく瓜二つの…パジャマ姿の黒沼爽子の姿があった。

「珍しいわねぇ、爽子がお寝坊するなんて。昨日、遅くまで勉強でもしてたの?」

「うん。そうなの」

目の前の黒沼爽子はにこりと笑みを漏らすと、こっそりとこちらに向かってウインクした。

「ああ、昨日の猫ちゃんも一緒なのね」

爽子の母がニコニコと微笑みながら、爽子(姿は黒猫)を抱き上げた。

「ごはんはなにをあげたらいいかしら?」

「昨日買ってきた猫缶がまだ残ってるから、それをあげるよ」

「あらそう?じゃあそれと一緒に昨日の晩御飯の残りのサンマの骨をあげましょうか」

爽子(の姿をした黒猫)と爽子の母がそんな会話をしている間にも、黒猫になってしまった爽子は必死で母に助けを求めていた。

ニャア、ニャア!

(お母さん、爽子はわたしだよ!)

ニャア、ニャア!

(そのわたしは偽者だよ!昨日助けた猫ちゃんなの!)

ニャア!

(お母さん!)

ニャアニャア!

(お願い、気づいてよ!)


そんな爽子の叫びも虚しく、朝ごはんの準備をするから、と母は部屋を出て行ってしまった。


それからは、信じられない光景の連続だった。

爽子の姿をした黒猫は、不自由なくパジャマから制服に着替えて登校の準備をして、部屋を出て行った。
爽子は置いていかれないようにと慌ててドアの隙間からスルリと廊下へ飛び出した。

居間で朝食を食べる両親は、目の前に座る自分たちの娘がまさか黒猫が化けた姿だなんて、思ってもいないんだろう。
何度呼び掛けても、両親がこちらの訴えに耳を貸してくれることはなかった。

そして、爽子の姿をした黒猫は立ち上がり、学校に向かうために玄関に向かった。そのあとをちょこちょこと黒猫の姿をした爽子が追いかける。

「安心してね。今日1日、うまくあなたに化けていてあげるから」

ローファーを履きながら、屈んで黒猫に話しかける。
「深夜0時を過ぎたら、元の姿に戻るわ。それまで、猫ちゃんライフを満喫してね!」


いってきまーす、と居間の両親に声をかけると、長い黒髪をなびかせながら、自分の姿をした黒猫は家を出て行った。





つづく
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