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2009
0628
Sun
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【 夏の日のこと 】



【スプリング・ハズ・カム】の後日談のつもりで書きました。
風爽で未来捏造話。

でもあんまり中身ないかもなぁ…(・ω・`)
しばらく文章書いてなかったから、
書き方を忘れてしまったようです。

お話のネタはいくつかあるんだけれど、技術がおっつかない…。


しばらくリハビリしてみます。



では、本編は↓からどーぞっ**







爽やかな初夏の季節。
新緑に色づき始めた白樺の木の葉が、サワサワと音をたてて風に揺れている。

アパートのベランダからその光景を眺めながら、爽子は心地よさそうに瞳を閉じた。
窓の隙間からそよぐ風が気持ちいい。柔らかな風がふんわりと爽子の長い髪を揺らした。

そんなとき、キッチンの方から翔太の焦ったような舌打ちが聞こえてきて、爽子は振り返りキッチンを覗く。


「…どうかしたの?」

「リンゴの皮剥いてたら、指切っちゃった」


翔太が左手の人差し指を口に加えたまま、キッチンから姿を表した。棚の引き出しを漁って絆創膏を取り出し、くるくると指に巻いていく。


「リンゴくらい、私が剥くのに…」

「だめ!うっかり包丁が落っこちてお腹に傷でも付けたらどーすんの!」


あまりに激しい剣幕で返されて、爽子は思わず苦笑いした。無意識に片手で少し大きくなったお腹を撫でる。


「包丁は使い慣れてるもの。大丈夫だよ」


ソファーから立ち上がり、キッチンに向かう。まな板に転がっている、まだ所々赤い皮の残るいびつな形のリンゴの残骸をひとつ手に取り、
慣れた手つきで果物ナイフを滑らせた。流れるような仕草でリンゴの皮がするすると円を描いて剥けていく。


「……さすがだね」

「…これでも主婦ですから」


うふふ、と爽子が照れ笑いを浮かべた。その横顔を複雑そうに見つめて、翔太はポツリと溜め息をつく。


「…おれ、だめだなぁ。結局、爽子に助けられてる」

「そんなことないよ。翔太くんが色々手伝ってくれてるから、私だいぶ楽させてもらってるよ」


綺麗に剥けたリンゴを小ぶりなサイズに切って、翔太の手に乗せる。


「きのう作ってくれたビーフシチューも、すごく美味しかった」

「完成まで三時間掛かったけどね」


――今日の翔太くんはすっかりネガティブモードだなあ。
さてどうしたものだろう。花柄の小鉢に切ったリンゴを盛り付けて、居間へと運ぶ。その後ろを翔太が浮かない足取りでついてきた。


「しょーじき、おれあんま自信ない」


シャリ、とリンゴを一口かじりながら情けなくも零れた弱音。


「ちゃんとした父親になれるかどうか、不安だよ」


隣に座る爽子のお腹を撫でる。微かに小さな振動を感じたような気がして、改めて愛しいひとのお腹に宿る、ちいさな命の存在をひしひしと実感した。

爽子はなにも言わずに、黙って口元にリンゴを運ぶ。一口かじって、言葉を見つけたのか、静かに呟いた。


「ほんとはね、私も不安なんだ」


でもね、


「翔太くんといっしょなら、こわくないよ」


だから、きっとだいじょうぶ。



ふわり、と翔太の左手に爽子の白い手が重なった。
人差し指に巻かれた絆創膏を愛しそうに優しく撫でて、ゆっくりと指を一本一本絡めていく。


翔太がお腹の子供ごと抱きしめるように、そおっと爽子の背中に両腕を回した。そのまま爽子の髪を優しく撫でて、その細い肩に顔を寄せる。


「……ありがとう」


小さく囁かれた言葉は、ほんの少し涙声と混ざっていた。


いいこいいこをするように、爽子の優しい指が翔太の髪を撫でる。


なんだか小さなこどもをあやしているみたいだな。


こんなことを考えているなんて、翔太くんにばれたら怒られちゃうね。


柔らかな髪の感触を指先に感じながら、爽子はこっそりと幸せそうに微笑んだ。





おわり
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